アート・インタラクティヴ東京 連続作家紹介 第13回 “月の植生” 2007年
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 “月の植生(Plants on the Moon)”は、中国西域の石窟寺院の供養菩薩像をモチーフとした“菩薩シリーズ”と、国宝源氏物語絵巻をモチーフとした“迷宮シリーズ”を複合した作品のタイトルとして使っています。

 前者がサンプルにした菩薩像の断片を培養して新たな形象を紡ぎだしてゆくような技法であるのに対し、後者は、例えば、国宝源氏物語絵巻の絵をそれぞれ一つの文章と考えるとすると、それらを解体、再構成することによって新たな文章または、詩、散文を作り出す試みといえます。そして、それらは絵画本来の空間である平面空間においてのみではなく、三次元空間でも展開する作業となります。

 また、サンプルとなるイメージは、制作者当初意図されたものより、絵具が退色、剥落、さらには複製によるデータエラーで変容したイメージを重要視しています。それは完成当初の作品が、図像レベルに於いて、その時代、その地域、その民族文化のコードによって形成された“地方語”であるのに対し、変容を遂げたイメージは、形象レベルに於いて、時空間を超えた深層的な“共通言語”と考えているからです。

 従って出来上がった作品は、仏教美術でも、平安王朝文学でもない形象の言語であり、かつ両者のイメージの深層を遺伝子として孕んでもいます。



近年の発表 菩薩シリーズ 迷宮シリーズ