紙、水彩絵の具、水の特性を極力生かした水彩画の試み。支持体は水彩紙ではなく、普段私達が使うA、Bサイズに企画化された普通紙を使用。日常との繋がりを意識しています。紙を濡らした時に縦、または横方向に規則的に波打つのは、本来水彩画用としては不向きなのですが、ここではその特性も利用しています。紙面中央に水たまりをつくり、そこに絵具を流し込むと様々な図柄を生じます。極端な“たらし込み”の技法といったところで、混沌としているようでいながら、絵具の粒子の比重の違いや、波打った紙の凸凹によってある程度の規則性を持ち、かつ同じものが二度とつくれないという特徴を備えています。一定の条件で培養しながらも個体差を生じる生命的な感覚。標本箱の様なケースにピン留めされたはかなげな支持体。それは生きている感覚の希薄な現代社会の暗示とも受け取れますが、どちらかというと観る側の生理感覚に直に訴えるような作品となっています。水たまりが乾くまでの水と絵の具の作用が続く数時間から十数時間(気温や湿度により大きく変わる)を定着させた記録です。

 このシリーズは単独で発表されたのは現在のところこの個展のみで、その後は他のシリーズと複合的に展示されるようになります。





個展・グループ展

2002年グループ展

2005年グループ展

2005年二十四枚絵