ここでも、西域仏教石窟壁画からのモチーフによる構成作品を、架空の博物館展示として提示しています。主要なモチーフは、この後シリーズ化される供養菩薩草花文の他、ギリシャ・ローマ起源の人像の組み込まれたアカンサス文様が仏教美術としてアレンジされた装飾帯があります。人像部には菩薩が配されていますが、顔面は削りとられ、剥落もひどいので、アカンサスの葉と菩薩の肉身の区別がつかなくなっており、見るものに、描かれた形体とは違ったイメージを喚起させます。

 私は、イメージが経年変化、または複製されることによって様々なメディアを渡り歩く(例えば、オリジナルイメージ→カメラフィルム→シルクスクリーン原稿→プリント)間に起こる一種のデータエラーが原因で変容し、違った解釈がなされることに興味を覚えます。それは誤った解釈というより、むしろ、イメージが限定された地域、時代にのみ理解できる図像学的意味解釈から解放され、もっと根源的なイメージの力が頭をもたげてくるからではないかと考えています。事実このアカンサスというモチーフ自体を、この壁画が描かれた時代や地域内でのみ論じることが無意味なように。

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